日本産業技術教育学会誌第48巻第4号,pp.275-282,(2007.1)

工業高校の「課題研究」における製作活動が生徒の自己概念形成に及ぼす影響

島田和典・森山 潤・松浦正史

[要約]

 本研究の目的は,工業高校の「課題研究」における製作活動の経験が,生徒の自己概念形成に果たす役割を明らかにすることである。
 工業高校生3学年322名を対象に,「課題研究」に対する意識調査(自由記述)及び自己概念尺度(筆者ら2004)を用いた調査を実施した。得られた自由記述から「知識・技能の習得」や「忍耐・努力の大切さへの気づき」,「協調性・チームワークの大切さへの気づき」などの8カテゴリを作成し,数量化V類を行ったところ,製作活動に対する生徒の意識として「習得感への振り返り」及び「活動体験への振り返り」の2軸が抽出された。また,数量化T類の結果,自己概念の「自律志向性」因子に対する「計画の大切さへの気づき」,「ものづくりの喜び」及び「つまずきの振り返りと反省」等の影響力が認められた。
 このことから,「課題研究」における製作活動では,技術的活動を支える自己統制力と達成に向けた動機付けが,自律性に向けた生徒の自己概念形成に重要な役割を果たすことが示唆された。

[キーワード] 工業高校,課題研究,製作活動,自己概念

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