日本産業技術教育学会技術教育分科会編「技術科教育の研究」第13巻,pp.21-28(2008.3)

マルチメディアの学習における生徒の認知スタイルと
情報活用の実践力との関連性

市原靖士・森山 潤・松浦正史

[要旨]  

  本研究の目的は,中学校技術科「情報とコンピュータ」のマルチメディアの学習において,生徒の認知スタイルと「情報活用の実践力」との関連性を明らかにすることである。中学3年生計194名を対象に,まずFDI型認知スタイル及び「情報活用の実践力尺度」(高比良ら2002)を用いた事前調査を行った。その後,「Webページの制作」を題材にマルチメディアの学習を計14時間実践した。実践では,@上級生や同級生との相互評価を取り入れた学習者群(以下,ストラテジー有群),A担当教師からの評価のみを受ける学習者群(以下,ストラテジー無群)を設定した。実践終了後,事後に「情報活用の実践力尺度」を用いた調査を実施した。 
  その結果,本実践の前後で「情報活用の実践力」は、いずれの下位尺度においてもその水準が事前調査時に比べて向上し,特に「収集力」「伝達・発信力」の伸びは顕著であった。また,ストラテジー無群では,「処理力」においてFD(場独立)の生徒の方がFI(場依存)の生徒に比べて伸びが大きくなった。一方,ストラテジー有群では,「判断力」においてFDIと性別で交互作用が見られ,男子はFI(場独立)の生徒が,女子はFD(場依存)の生徒の方が,それぞれ伸びが大きくなった。これらの結果から,Webページ制作によるマルチメディアの学習は,情報活用の実践力を育成する上で有効な題材であるものの,その学習指導にあたっては生徒の認知スタイルに配慮する必要のあることが示唆された。

 キーワード:情報活用の実践力,マルチメディアの学習,中学校技術科,FDI型認知スタイル

 

戻る