京都教育大学教育実践研究年報第12号pp.91-102(1996)

技術科教育における技術の多面性に基づく学習内容のカテゴリー分析

森山 潤・足立明久・桐田襄一

[要旨]

 社会における技術のあり方に様々な問題が指摘される状況にあって,技術科教育には技術的実践力の育成と同時に,技術に対する多面的な理解や客観的な評価能力の育成が求められている。技術科教育がこれらの要求に対処するためには,その学習内容において技術そのものの多面性を取り上げる必要がある。しかし,技術科教育における学習内容の多面性は,その分析基準が設定されておらず,現状や問題点は必ずしも整理されていない。そこで本稿では,技術の多面性に基づく学習内容の分析基準の設定,学習内容の多面性の現状把握及び問題点の整理を研究の目的とした。
 まず技術そのものの多面性を技術発達史的視点から探求した後,STS教育的構成概念を用いてカテゴリー化し,分析基準を設定した。次に,現行の技術系列の学習内容を,教科書記述を対象に分析した。その結果,作成された分析規準は,「科学的内容」「技術的内容」「社会的内容」「システムとしての内容」の4分野計25項目のカテゴリーで構成された。また,教科書の記述内容の分析では,(1)現行の学習内容が「技術的内容」に極端に傾斜していること,(2)学習内容の広がりや深まりが領域間で極端な格差を生じていること,(3)履修形態との関わりにおいて学習内容の多面性に学年進行に応じた整合性が図られていないこと,などの問題点が指摘された。
 今後は,作成した分析基準の妥当性を検証すると共に,技術の多面性を考慮した体系的な学習内容の枠組みを構築する必要があろう。

[キーワード]技術科教育,学習内容の多面性,カテゴリー分析

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